Louis I.Kahn Houses―ルイス・カーンの全住宅:1940‐1974
Louis I.Kahn Houses―ルイス・カーンの全住宅:1940‐1974
斎藤 裕

定価: ¥ 4,935
販売価格: ¥ 4,935 人気ランキング: 25,748位
おすすめ度:
発売日: 2003-10
発売元: TOTO出版
発送可能時期: 通常24時間以内に発送
フランク・ロイド・ライト、ル・コルビュジエ、ミース・ファン・デル・ローエら、近代建築のいわゆる巨匠の時代が終わったあと、彼らの影響圏から離れ、真に独自の建築を作りえた「遅れてきた巨匠」ルイス・カーンの住宅作品を集めた本である。カーンの代表作と言えばキンベル美術館、ソーク研究所など比較的大型の建築の名が挙がるだろうが、しかしカーンがこつこつと作り上げた住宅はそれらに勝るとも劣らぬ魅力を持つ。キンベル美術館のような傑作が重要であることは間違いないが、たとえばフィッシャー邸やエシェリック邸を抜きにしてカーンという建築家を語ることはできないだろう。しかしこれまでカーンの住宅作品についての十分な日本語の資料はなかった。多くのカーンに関する書物がその住宅作品についてはせいぜい小さな図面と写真数枚を紹介する程度で、バランスに欠ける傾きがあったことは事実であろう。こうした不均衡を一気に解決する1冊である。 カーンの住宅に接近するためには、とりわけ図面を参照しながら時間をかけて読み解くことがどうしても必要になる。その緊密なプロポーションの構成、思慮深く練り上げられた空間の充実、そして年月を経て現在もなおみずみずしさを失わないマテリアルの取り合わせ、どれをとっても表面的に眺めるだけではとらえることのできない深さを持っている。四季折々の豊かさを見せる美しい写真とともに各種の図面が丁寧に折り込まれ、たとえばフィッシャー邸ひとつのために実に60ページを費やすという、まさに徹底的なドキュメントである。一つひとつのページをめくるたびカーンの建築の圧倒的な密度にあらためて驚かされるだろう。 同時に感嘆せざるを得ないのは、建てられてから50年近くを経たカーンの20件の住宅が丁寧にメンテナンスされて今もなお美しい姿を保っていることだ。そこには確かに愛されている建築の姿がある。多くの建築家の住宅が歴史に翻弄されあるいはトラブルに巻き込まれ、残念な姿を見ることは決して少なくない。しかしここに集められたカーンの住宅の状態の良さには驚くべきものがある。とりわけフィッシャー夫妻が建設当時を振り返って語るコトバは建築の幸福とでも言うべきなにかを雄弁に物語っているだろう。カーンはそれを与ええたし、彼らはそれを享受できた。そして本書において、読者はその片鱗に触れることができるはずだ。(日埜直彦)
愛情のこもったカーン住宅作品集
名作キンベル美術館の作者の住宅作品集を、愛情こめて綴った本。大建築家の名声を得た後でも、経営的には割りに合わない個人住宅を重視して時間をかけて設計・建築していったカーンの人柄は、フィッシャー夫妻のカーン追想録に偲ばれる。安藤忠雄さんも、個人住宅は一人前の建築家になる試金石として、今でも重視されているようです。
カーンは「光」を大切にし、「どのような太陽のひとひらが、あなたの部屋に入ってきますか」と問うた。日本人なら、秋の日、障子に移る落葉樹のゆらぐ葉影と流れる雲の影に、自然の微妙な移ろいを感じるので、カーンの考えに素直に共感できるだろう。
個人的には、カーン最後の作品「コーマン邸」が住みたいと思う住宅です。木と石と暖炉をモチーフとしたカーンの集大成。日本人の感覚からすると、屋根が平板で夏大丈夫かと心配になる。緯度の高いフィラデルフィアなので、真夏の灼熱地獄はないのでしょう。建築は風土と密接不離のようです。
「コーマン邸」を知ると、日本建築の良さ・ありがたさを再認識します。腕の良い大工さんが、クライアントの希望を聞いて、シンプルかつ愛情込めて丁寧に建てたならば、世界的にも最高水準の住宅なのだと…。
素晴らしいお仕事に感謝!
様々な写真から伺える、住まう人々を優しく包み込むような暖かさ、しかしそこに漂う凛とした心地よい緊張感・・・これらの住宅を眺めていると、ルイス・カーン氏と施主が暖炉の側で紅茶の香りを愉しみながら、来たるべき素晴らしい未来について楽しそうにディスカッションしている姿が思い浮かびます。「幸せ」とはこういう光景のことを言うんだろうなぁ・・・あぁこんな家に住んでみたい・・・
・・・ただ、あえていくつか苦言を挙げるとすれば・・・
@ルイス・カーン氏の住宅に住宅論とか小難しいテキストは必要ないと思います。俯瞰からディテールまでの写真と適度な大きさの図面があって、目にした人それぞれがそれらから想いを感じ取る・・・それだけで十分です。贅沢ですが、もっと写真と図面を載せてほしかったです。
Aかなりのヴォリュームの本ですが、あえてソフトカバーにして単価を安くしてほしかったです。この本は建築の専門家だけでなく、広く一般の人々に目を通して頂きたい本だと思います。建築家の書棚に収まっているだけではもったいなさ過ぎます。
苦言を呈してしまいましたが、「あえて」です。素晴らしい本であることに変わりはありません。素晴らしいお仕事に感謝!
「ルイス・バラガンの次は、なんと」
バラガンでばっちりやってくれた斉藤裕氏が、なんと今度はルイス・カーン。しかもいきなり住宅から来ました。斉藤氏の写真のいいところは、いい意味で建築写真的ではないところです。風景の中に建築を置いたり、空間全体の雰囲気を撮ってくれる。このルイス・カーンの住宅作品写真集では、その手法がさらに生かされている。最初に掲載されているコーマン邸では、雪の降り積もった大地の彼方の住宅を正面から撮っている見開きから始まる。次のページは住宅に近付き、斜めから青い影を画面下に置いて撮影(見開き)。次は樹木と芝生の中の住宅を別アングルから撮影(このコーマン邸のページを書店で見て、買うことに決めた)。こちらが“こんな風に見たいな”ということを、きっちりと写真集の中でやってくれている。しかもカラー写真が多い(というよりオールカラー)。よく建築写真本で、これをカラーで見せてくれよ、というページがあるけど、斉藤本ではその欲求不満を抱かなくていい。むしろ“見る気持ち良さ”を連続して与えてくれる。この本の最初のカラー写真も、氷結した水面に落ちたみぞれの光と影だった。そういう芸当をやってくれる斉藤さんに1票。
斎藤 裕

定価: ¥ 4,935
販売価格: ¥ 4,935 人気ランキング: 25,748位
おすすめ度:

発売日: 2003-10
発売元: TOTO出版
発送可能時期: 通常24時間以内に発送
フランク・ロイド・ライト、ル・コルビュジエ、ミース・ファン・デル・ローエら、近代建築のいわゆる巨匠の時代が終わったあと、彼らの影響圏から離れ、真に独自の建築を作りえた「遅れてきた巨匠」ルイス・カーンの住宅作品を集めた本である。カーンの代表作と言えばキンベル美術館、ソーク研究所など比較的大型の建築の名が挙がるだろうが、しかしカーンがこつこつと作り上げた住宅はそれらに勝るとも劣らぬ魅力を持つ。キンベル美術館のような傑作が重要であることは間違いないが、たとえばフィッシャー邸やエシェリック邸を抜きにしてカーンという建築家を語ることはできないだろう。しかしこれまでカーンの住宅作品についての十分な日本語の資料はなかった。多くのカーンに関する書物がその住宅作品についてはせいぜい小さな図面と写真数枚を紹介する程度で、バランスに欠ける傾きがあったことは事実であろう。こうした不均衡を一気に解決する1冊である。 カーンの住宅に接近するためには、とりわけ図面を参照しながら時間をかけて読み解くことがどうしても必要になる。その緊密なプロポーションの構成、思慮深く練り上げられた空間の充実、そして年月を経て現在もなおみずみずしさを失わないマテリアルの取り合わせ、どれをとっても表面的に眺めるだけではとらえることのできない深さを持っている。四季折々の豊かさを見せる美しい写真とともに各種の図面が丁寧に折り込まれ、たとえばフィッシャー邸ひとつのために実に60ページを費やすという、まさに徹底的なドキュメントである。一つひとつのページをめくるたびカーンの建築の圧倒的な密度にあらためて驚かされるだろう。 同時に感嘆せざるを得ないのは、建てられてから50年近くを経たカーンの20件の住宅が丁寧にメンテナンスされて今もなお美しい姿を保っていることだ。そこには確かに愛されている建築の姿がある。多くの建築家の住宅が歴史に翻弄されあるいはトラブルに巻き込まれ、残念な姿を見ることは決して少なくない。しかしここに集められたカーンの住宅の状態の良さには驚くべきものがある。とりわけフィッシャー夫妻が建設当時を振り返って語るコトバは建築の幸福とでも言うべきなにかを雄弁に物語っているだろう。カーンはそれを与ええたし、彼らはそれを享受できた。そして本書において、読者はその片鱗に触れることができるはずだ。(日埜直彦)
愛情のこもったカーン住宅作品集名作キンベル美術館の作者の住宅作品集を、愛情こめて綴った本。大建築家の名声を得た後でも、経営的には割りに合わない個人住宅を重視して時間をかけて設計・建築していったカーンの人柄は、フィッシャー夫妻のカーン追想録に偲ばれる。安藤忠雄さんも、個人住宅は一人前の建築家になる試金石として、今でも重視されているようです。
カーンは「光」を大切にし、「どのような太陽のひとひらが、あなたの部屋に入ってきますか」と問うた。日本人なら、秋の日、障子に移る落葉樹のゆらぐ葉影と流れる雲の影に、自然の微妙な移ろいを感じるので、カーンの考えに素直に共感できるだろう。
個人的には、カーン最後の作品「コーマン邸」が住みたいと思う住宅です。木と石と暖炉をモチーフとしたカーンの集大成。日本人の感覚からすると、屋根が平板で夏大丈夫かと心配になる。緯度の高いフィラデルフィアなので、真夏の灼熱地獄はないのでしょう。建築は風土と密接不離のようです。
「コーマン邸」を知ると、日本建築の良さ・ありがたさを再認識します。腕の良い大工さんが、クライアントの希望を聞いて、シンプルかつ愛情込めて丁寧に建てたならば、世界的にも最高水準の住宅なのだと…。
素晴らしいお仕事に感謝!様々な写真から伺える、住まう人々を優しく包み込むような暖かさ、しかしそこに漂う凛とした心地よい緊張感・・・これらの住宅を眺めていると、ルイス・カーン氏と施主が暖炉の側で紅茶の香りを愉しみながら、来たるべき素晴らしい未来について楽しそうにディスカッションしている姿が思い浮かびます。「幸せ」とはこういう光景のことを言うんだろうなぁ・・・あぁこんな家に住んでみたい・・・
・・・ただ、あえていくつか苦言を挙げるとすれば・・・
@ルイス・カーン氏の住宅に住宅論とか小難しいテキストは必要ないと思います。俯瞰からディテールまでの写真と適度な大きさの図面があって、目にした人それぞれがそれらから想いを感じ取る・・・それだけで十分です。贅沢ですが、もっと写真と図面を載せてほしかったです。
Aかなりのヴォリュームの本ですが、あえてソフトカバーにして単価を安くしてほしかったです。この本は建築の専門家だけでなく、広く一般の人々に目を通して頂きたい本だと思います。建築家の書棚に収まっているだけではもったいなさ過ぎます。
苦言を呈してしまいましたが、「あえて」です。素晴らしい本であることに変わりはありません。素晴らしいお仕事に感謝!
「ルイス・バラガンの次は、なんと」バラガンでばっちりやってくれた斉藤裕氏が、なんと今度はルイス・カーン。しかもいきなり住宅から来ました。斉藤氏の写真のいいところは、いい意味で建築写真的ではないところです。風景の中に建築を置いたり、空間全体の雰囲気を撮ってくれる。このルイス・カーンの住宅作品写真集では、その手法がさらに生かされている。最初に掲載されているコーマン邸では、雪の降り積もった大地の彼方の住宅を正面から撮っている見開きから始まる。次のページは住宅に近付き、斜めから青い影を画面下に置いて撮影(見開き)。次は樹木と芝生の中の住宅を別アングルから撮影(このコーマン邸のページを書店で見て、買うことに決めた)。こちらが“こんな風に見たいな”ということを、きっちりと写真集の中でやってくれている。しかもカラー写真が多い(というよりオールカラー)。よく建築写真本で、これをカラーで見せてくれよ、というページがあるけど、斉藤本ではその欲求不満を抱かなくていい。むしろ“見る気持ち良さ”を連続して与えてくれる。この本の最初のカラー写真も、氷結した水面に落ちたみぞれの光と影だった。そういう芸当をやってくれる斉藤さんに1票。
